探査機ボイジャーとゴールデンレコードに関する覚え書き

1977年に、NASAが2機の探査機ボイジャー1号と2号を打ち上げた。今年(厳密には昨年だが)はそれから40周年の節目の年である。主な任務は太陽系の惑星の探査であった。幸運なことに、当時外惑星が同じ方向に並んでいて、1つの探査機でより多くの惑星の調査ができる、というタイミングと、宇宙探査が盛んであった当時の社会情勢とがそれを可能にしたのだと思う。今でも好条件がそのタイミングしかないなら、NASAは探査機を送る可能性があるが、それでも2台は送らないだろう。

・ボイジャー計画 (wikipedia)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9C%E3%82%A4%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%BC%E8%A8%88%E7%94%BB

・Voyager – The Spacecraft (NASA)
https://voyager.jpl.nasa.gov/mission/spacecraft/

ボイジャーは、そこにいかなければとれない情報を収集して地球に送ってくれた。そのどれもが輝かしい成果である。惑星探査は既に終わってなお、最も遠い場所を航行する人工物として今もほぼ等速直線運動をしている。

こんな物体はボイジャーしかない。

(追記:と、思ったら、パイオニア10,11号を忘れていた。後述のゴールデンレコードについても、その原型ともいえる金属板を搭載している)

また、ボイジャー計画が素晴らしかったのは、太陽系の惑星の探査だけに留まらせずに、探査が終わった後、太陽系外へ向かうボイジャーにメッセンジャーとしての使命を負わせたところだと思う。

通常、探査機はその任務を終えれば、ただの機械のかたまりとして無用の長物と化す。しかし、ボイジャーは惑星観測に必要な機能を切って、電池を延命させ、今も周囲の情報を送ってきている。それだけでも素晴らしいのに、たとえ、近い将来電源を完全に失っても、搭載している「ゴールデンレコード」―文字通り、金の円盤であるが― を、もしかしたらいるかもしれない地球外生命体のために運び続けている。ただ、一番近い隣の恒星でも約4万年後に1.7光年以内に接近という途方もない話なので、地球外生命体に回収される日が来るかどうか、そのとき人類が存在しているかどうか分からないけれど、人類の痕跡を運んでいると思うと感慨深い。

・Voyager record(NASA)
https://www.jpl.nasa.gov/multimedia/voyager_record/index_voyager.html

・Voyager Golden Record
http://goldenrecord.org/

なんか、当時の宇宙探査については、夢というかロマンがあっていいなぁと思う。
今の宇宙開発分野では、技術は進歩して当時よりできることは多くなっているはずだけど、現実的過ぎて、そういう部分に物足りなさを感じる。

さて、ボイジャー40年の年に、いろいろ動きがあった。

・惑星探査機ボイジャー1号「37年ぶり」にエンジン復活 NASA
http://www.hazardlab.jp/know/topics/detail/2/2/22965.html

姿勢制御装置(データ送信のためボイジャーを地球に向けさせるための装置)が劣化してうまく働かなくなってきているので、37年使ってなかったメインのエンジンで姿勢制御をおこなったという話。

・宇宙人向け「ゴールデンレコード」を地球人用に復刻させるプロジェクト、Kickstarterで始動 – wired
https://wired.jp/2016/09/23/voyager-golden-record/

40年記念として、ゴールデンレコードを復刻という話。
クラウドファンディングサイト(Kickstarter)で話が持ち上がり、今現在、クラウドファンディング自体は成功裏に終わっている。(https://www.kickstarter.com/projects/ozmarecords/voyager-golden-record-40th-anniversary-edition)

この話を知った時点(2017年9月頃)ですでにクラウドファンディングは終了してたんだけれど、成果物である復刻版はOzma Record(http://www.ozmarecords.com/)から今からでも購入できる。というか、買った。ちゃんと日本にも送ってくれる。全文英語だけどね。

いくつかエディションがあって、ゴールデンレコードに収録された音声が2つのCDに、収録された画像とボイジャーが送ってきた画像が本になったものは$50(今のレートで約5,500円)で手に入るのでお手軽。12月中旬に手元に届いた。装丁もセンスがあっていい。授業でボイジャーの話ついでに紹介しようと思う。

ゴールデンレコードを細部まで復刻したLPボックスについては、$98で購入できる。$50の方だけで十分なんだけど、クラウドファンディングでの成果物ということで、いつまであるか分からないし、せっかく40周年記念なのでこっちも購入したのだけれど、2月中旬あたりに届くらしい。

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